Your Majestyって?映画「ウィンストン・チャーチル」から見る英国英語と時代背景

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今更ですが、ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(原題:Darkest Hour)を観ました。

キャスト

ウィンストン・チャーチル:ゲイリー・オールドマン

クレメンティーン・チャーチル:クレメンティーン・スコット・トーマス

ジョージ6世:ベン・メンデルソーン

ハリファックス子爵:スティーヴン・ディレイン

ネヴィル・チェンバレン:ロナルド・ピックアップ

アンソニー・イーデン:サミュエル・ウェスト

エリザベス・レイトン:リリー・ジェームズ

監督は、ジョー・ライトで「つぐない」「アンナ・カレーニナ」「プライドと偏見」など。近代以前を描き、映像が綺麗な映画が多い印象です。

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ざっくりしたあらすじと感想

あらすじ:
第二次世界大戦の初期1940年、ネヴィル・チェンバレンは、ドイツに対する宥和政策の失策により辞任を余儀なくされる。後任は主戦派のウィンストン・チャーチルだったが、有事の際の貧乏くじ人事であった。
チェンバレンと親しかったジョージ6世からも歓迎されていなかった。
一方、ナチスドイツは、ベルギーやフランスにも侵攻し、西欧領土を拡大する。チャーチルは、ドイツとの徹底抗戦を訴えたが、ハリファックス子爵含む保守党は、ドイツとの講和を図る。
ついには、講和を候補に入れないのならば大臣を辞任するとハリファックス子爵とチェンバレンが要求する事態となり、チャーチルは決断を迫られるー

この映画で、辻一弘氏が第90回アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされたことでも話題になりました。

主演ゲイリー・オールドマンは、既に他の俳優により演じ尽くされていたチャーチル役を引き受けることに迷いがありました。
そこで、彼は辻氏がメーキャップアーティストとして、参加するならオファーを受けようと思うと辻氏本人に伝えたのです。
既に辻氏は映画業界からは身を引いていましたが、歴史的人物を特殊メイクで表現するという意義を感じ、この映画が実現しました。

見た目だけ似せたのではなく、ゲイリー・オールドマンは1年もの間、チャーチルの書物や映像などを研究。徹底的にチャーチルを表現しています。

映画では、史実の通り1940年5月、次々にナチスドイツによって西欧諸国が倒れ、ダンケルクで40万人のイギリス軍も全滅寸前、イギリス議会も講和派と主戦派で分かれているという孤立無援の状況が描かれています。
首相になったチャーチルが、それでもドイツに立ち向かうという意思を貫き通すさまは心動かされます。

個人的に、ジョージ6世とチャーチルの関係性にも非常にグッときました。最初はお互い苦手としていましたが、互いに国を思う気持ちは同じ。
次第に危機的状況の中でも信用するようになります。
2人は、戦時中も週1の会合を欠かしませんでした。

それと、仏ダンケルクでの英国兵士救出作戦「ダイナモ作戦」について、イギリス政府内での描写もかなりあります。
ノーラン監督の「ダンケルク」と合わせて見ると、イギリス政府とフランスのダンケルク海岸、2つの視点から当時の状況が理解できます。

この映画は既に色々詳しい解説は書かれていると思うので、これくらいで。。

気になった英語表現や背景があったので、忘備録として書いていきます。

映画で頻出。気になる英語表現と背景

Your Majestyとは?

劇中でこんな場面がありました。

  • チャーチルとジョージ6世の会合の別れ際。

チャーチル:“Your Majesty.”  (ジョージ6世に対して敬礼。) 

  • 議会にて発言。

チャーチル:“I received His Majesty’s commission.” 「既に国王の信任をもらった。」

洋画を観ているとよく見かける表現です。majestyだけですと、「威厳」です。

もちろん、そのままの意味ではなく、実は、これは国王に対しての二人称・三人称です。

例えば、日本だと天皇陛下とお話しするなんて機会があった時、恐れ多くて「あなたは~ですか?」と聞かないですよね。「陛下は~?」と聞くと思います。

この”majesty”の意図としては、[あなた様]ではなく、ワンクッション置いて、<あなたの威厳>に話しかけてます、ということだそうです!なるほどねー

Hip, hip, hooray! とは?

チャーチル家族がチャーチルの首相就任をお祝いするときの掛け声でこんなものがありました。

“Hip, hip… Hooray!” 

ヒップ・ヒップ・フーレイは、誰か(何か)を称賛する時に使われる掛け声。イギリス発祥ですが、英語圏で広く使われるようです。

ヒップヒップ…と誰かが呼びかけてみんなでフーレイ!を3 回繰り返します。

hipは間投詞。日本でも「フレー」と言いますが、このフーレイらしい。

「ジョージ6世の兄」とは?

ジョージ6世がチェンバレンにチャーチルに不信感を持っている理由を列挙していますが、その中に「兄王の退位問題」がありました。

また、ジョージ6世とチャーチルの気まずい?面会後、チャーチル発言。

”He’s never forgiven me for supporting his brother’s marriage to Wallis Simpson.”「(ジョージ6世は)私が兄上とシンプソン夫人の結婚を支持したのを今も恨んでいる。」

ジョージ6世の兄は、エドワード8世で前国王でした。1936年に国王即位します。
しかし、恋に落ちた既婚アメリカ人女性のウォリスという女性と結婚するために退位してしまいます。
王室は決して彼女との結婚を認めようとしなかったので、退位するしかなかったのです。

即位期間はわずか325日。当時日本でも新聞のトップニュースになったそう。退位後は弟のヨーク公が「ジョージ6世」として即位しました。

チャーチルは、エドワード8世と関係が悪かった当時のボールドウィン首相への敵対心もあり、エドワード8世とは親しくしており、この結婚問題で国王寄りの調整を試みました。敵の敵は友ですね。
いつの世も王室ニュースは世の耳目を集めています。

Hear, hear! とは?

チャーチルの議会演説中に”Hear, hear”と議員らの合いの手がありました。

これは、議会などで発言者に対して注目を促す際に用いられた言葉です。17世紀のイギリス議会が発祥。

元は「Hear him, hear him!」でした。発言に同意を示すために使われており、今でも提案を聞く際などに使われるようです。

賛成や同意を熱心に示す意味で、野次的な感じでも使われるようです。

The Lordsとは?

チェンバレンとジョージ6世が「なんで次の首相がチャーチルなんだ!ハリファックスが良かった…」と話している時、

The Lords wanted Halifax.” (貴族院もハリファックスを望んだ) byチェンバレン

The Lords 「貴族院」 正式には、”The House of Lords”

庶民院は、”the House of Commons“です。

貴族院とは??

気になったので調べました。

貴族院は中世の成立から現在に至るまで選挙なし。

現在のメンバーは、「一代貴族」がほとんどです。「一代貴族」とは、爵位を世襲できず、終身貴族院議員となります。主に政界・官界・軍・司法界などで活躍した人で、首相の助言に基づく女王の勅許状によって叙爵されます。

この映画の時代は、1999年の貴族院改革よりも前なので、世襲貴族も多くいますね。

ちなみに、イギリス貴族の次男以下は「ヤンガーサン(younger son)」と言われるらしいですが、爵位を継げるのは長男だけ。兄が男子なく亡くなるか、自身が新規で爵位をもらわない限り、平民です。結婚も難しかったようです。なので、ヤンガーサンたちは身を立てるため勉学などに励んできたので優秀な人が多く、18-19世紀の大英帝国の繁栄を支えました。

ハリファックスもチャーチルに、

Halifax would never turn it down. He’s the fourth son of an earl.

(奴は首相就任依頼を辞退しないだろう。伯爵家の四男だ。何でも引き受けるだろう。)

と言われていましたが、彼も当てはまるんですかね。

日本の感覚だと、世襲で選挙がない議会って大丈夫なのか?と疑惑の目を持ってしまいますが、上で述べたように、各分野に精通している人が多く、国民の人気取りもする必要もないので、庶民院とは一線を画す防波堤の役割を果たしていると評価を得ているそうです。公選制にしようと議論はあるみたいですが、活発に議論されているわけではないようです。

ちなみに:イギリスの爵位は、上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順です。

最高位が公爵「Duke」王族公爵(ヘンリー王子など)、臣民公爵があり

敬称はDuke of 〇〇です。姓ではなく爵位名が入ります。

Lordは侯爵、伯爵、子爵、男爵の敬称。Lord of 〇〇になります。


この映画は議会や英国由来の英語が沢山あって、勉強になりました。

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