『わたしは、ダニエル・ブレイク』感想

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ネトフリで『わたしは、ダニエル・ブレイク(I, Daniel Blake)』を観ました。あらすじと感想です。

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あらすじ(ちょっとネタバレあり)

ダニエルは40年大工として働いてきましたが、心臓に病を患い医者から働くことを禁止されます。傷病手当をもらおうとしますが点数が足りず給付対象とならず。ある日役所で職員と揉めていたシングルマザーのケイティを助けます。彼女は大学生時代に二人の子供を産みましたが、生活に困りホームレス施設に一時滞在。劣悪な環境だったので、ロンドンから越してきたのです。交流が生まれたダニエルとケイティと子供たち。大工の知恵を生かしてケイティの家を修理したり、子供たちと遊んであげたり。
その後、傷病手当がもらえないダニエルは求職者手当をもらおうとしますが、受給するにはジョブサーチサイトに登録したり、履歴書を書いて実際に何件以上応募したり…が必要。ダニエルはITに疎いのでサイトに登録するのにかなり時間がかかります。
一方、お金が足りないケイティは水商売に手を出します—

2016年、イギリス、フランス制作の映画で、第69回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた本作品。

監督は、ケン・ローチ(『麦の穂をゆらす風』など。移民や労働者を描くことが多い監督)

キャストは、デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ、ディラン・フィリップ・マキアナン、ブリアナ・シャン、ケイト・ラッター、シャロン・パーシー、ケマ・シカズウェ

感想など

ダニエルが冒頭から役員の職員と病状の確認や給付基準について押し問答が続きます。
「腕は上げられますか?」「トイレを漏らすことは?」
ダニエルは心臓が悪いですが、こうした項目に当てはまりません。
職員は淡々とチェックをしていき「就労可能」と結論づけます。茶番ですね……
実際、イギリスでは緊縮財政の影響で、手当が必要な人が支援を打ち切られて亡くなることもあったようです。監督はそんな状況を痛烈に批判しています。

しかしながら薄汚れた心で見ると、世の中をやっていくにはダニエルのように純粋で正直すぎるとやっていけないんだろうなと思ってしまいました。

もちろん、医者から労働を止められているのにもかかわらず傷病手当をもらえず、求職活動をしなければならないというのは矛盾もいいところで行政側に非があります。

一方、ダニエルもITに対応しようとしたり、役所以外の別の場所に訴えたり助けを求めたりできなかった。形だけ求職してるフリもできたはずです。でも崇高なまっすぐな自分自身を貫き通しました。
(まあこれは、やればできるだろ、何でやらないの的な傲慢な視点で、本人に寄り添った視点ではないんですが。)

理想は、行政が柔軟に対応して救えれば……。しかし例外を作るのはダメだと役所で職員同士が会話する場面がありました。
行政・役所の都合で少数が切り捨てられていく。福祉政策って弱者を守るためのものではなかったでしょうか。

ちなみに日本では求職者手当に関してはさすがにこんな厳しい審査はなかったはずです。求職活動実績は出す必要がありますが、このイギリスの役所が指定する就職サイト縛りはないようです。


ケイティがフードバンクで空腹に耐えきれずに缶を開けてその場で食べてしまう場面は、辛い場面でした。子ども優先で自分のことは後まわしにしてきましたが、支援を目の前にして糸がプツンと切れてしまったのでした。

日本でも、生活保護受給など認められず孤独死された方が見つかったなど胸が痛いニュースをよく聞きます。この映画が描いている悲劇は、イギリスだけでなく日本でもまったく他人事ではありません。

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